毎日きちんとボイトレを続けているのに
- ミックスボイスが一向に地声っぽくパワフルにならない(裏声っぽい
- そもそも練習での変化・成長を感じることができない
こんな悩みから抜け出せない人がいます。
なぜそんなことが起きているのか。
この記事では、よくあるその「原因」や「注意点」、そして自分もできる改善方法についてご紹介していきます。
原因:地声っぽくならないのは何故?
地声っぽいミックスになる気配を感じない場合の多くは
自分の「喉のレベルに不釣り合い」なボイトレで練習してる
これが9割以上の原因だと思います。
ちなみにミックスボイス関連のお悩みでレッスンに来られた方達は、
- 普段のトレーニングは、Youtubeで有名なボイトレ動画を真似してみてる
- ボイトレ本に載ってたデイリートレーニングをそのまま順番にやっている
という練習をしてることが多いようです。
この状況から見てもわかるように、ほとんどの方が「いま使っているトレーニングが、自分の喉に適切なレベルなのか?(やればちゃんと経験値になるのか)」を確認しないまま時間を費やしてる事が問題なのです。
喉のレベル上げもRPGと一緒
自分の喉はLv1なのに、いきなりラスボスや、その側近モンスターと闘ってもすぐに負けてしまうし、経験値をもらうことなんて到底出来ません。
まずは冒険序盤の村のまわりにいる弱いスライムを倒して、確実な経験値を手に入れながら少しずつレベル上げをしていきましょう。
ゲームみたいに「一気にレベルが上がる裏技」がボイトレにもあれば良いのにネ。
(昔、タピオカハイトーンってトレーニングを作ったけど、あれもドーピングのひとつでしか無いので、結局コツコツ地力を上げるしか無いのですよね〜)
自分の喉レベルを知ろう!
一度、今の自分がどれくらい喉を操作できてるのか、確認してみましょう。
- 低音からゆっくりアーーー⤴と音の高さを上げていく。
ある高さからガクンっ!と「か細いキンキンした裏声」または「息漏れの多い裏声」へと切り替わらずに上昇し続けれるか。 - 「裏声のような息漏れ声」「息漏れのないバリバリした強い声」「息漏れのない細くて柔らかい声」の3つを、普段の喋り声の高さ、喋り声の1オクターブ上の高さで、それぞれ全て出し分けできるか。
- 歌の中で、2の声質たちへの切り替えをスムーズに行えるか(「音程が上手く取れなくなる」「喉が詰まって変化を付けれない」などの状態はNG
- 上記の内容を試した際、自分で「できている」 or 「できない」を自信をもって判断できるか。
いかがでしたでしょうか?
①は出来るのに②~④が上手くいかない方。
→ もしかすると裏声と地声の違いを認識、またはコントロールできない為、歌の中での音色の使い分けが上手くいかず、すぐに喉のこわばったり操縦しづらさを感じているかも。
②~④は何となくできるが、①は全然できない方。
→ 普段から力強く歌おうと頑張りすぎ、息を大量に使いすぎな人に多いです。
歌ってる際も「操作しながら歌う」というよりは、特定の音域以上は「張り叫ぶ」または「持ち上げる」ような出し方になっている事も多いはず。あと喉が枯れやすい、または腫れやすい傾向も。
①~④まで、全滅な方。
→ ②~④の方よりも、更に出しづらさを感じているかもしれません。
人によっては裏声を出すこと自体できない…という方も。
「声を楽器のように鳴らす」なんて言われてもワケがわからないハズ…
さぁ、当てはまるものはありましたでしょうか?
なんでこんな事が起きるの?
「喉の筋肉を操作する神経・脳」が成長してない&整理されていないことが原因です。
その結果、音の高さを変えたり音色を切り替えようとする際、曲のスピードに処理スピードに追いつけず声帯の閉じ具合や息量のバランスが崩壊してしまいます。
これをきちんと把握しないまま闇雲に練習を続けても、
- いつまでも「声の裏返り感」「声の境目」がくっきりと目立ってしまう。
- 裏声と地声の境目で余計な力みが入り喉が詰まってしまう。
- 同じメロディでも、歌詞が変わっただけで喉が詰まったり、ひっくり返りやすくなる
(例:1番のサビは歌えるけど2番のサビは何故か歌いづらい。イやウの音が苦しい。など)
これらの症状はなかなか改善されません。
練習方法やトレーニングレベルがあなたに合っていないと、喉に備わっている「地声っぽくさせる筋肉」は上手に刺激されず、いつまで経ってもキンキンした裏声のままなのです。
何から始めたら良いの?
まず何よりも「自分のレベルをきちんと知ること」が大切です。
もしあなたが「自分じゃ喉の状態を正しく判断出来てるか自信ない・・」と思うなら、きちんと聞き取れるトレーナーに声の聞き取り方・練習内容の考え方を習いに行くのが一番効率的だと思います。
逆に「何年かかっても良いから自力で何とかしたい!」という方は、ある一定の期間に渡って、毎日色んな種類の声を録音し続けるという方法をオススメします。(このやり方の進度は最低でも「年単位」が目安です)
そして、期間の始めと終わりとで音源を聴き比べてみてください。
すごく出しやすくなっている声もあれば、
若干出しやすくなったもの。
そうでないもの。
そもそも自分では変化の判断がつかないもの…
色々な感想が出てくるかと思います。
でも大丈夫です。ボイトレの一番の核は「今の自分の喉が出来ること・出来ないこと」をいかに細かく把握していけるかにかかっています。
喉には説明書がいる
今あなたは、喉と耳と頭に”「声の位置(状態)」を計測するための定規”を作る必要があります。
- 綺麗な声、汚い声
- 深い声、甲高い声
- 弱弱しい声、ハリのある声
- 緊張した潰れた声、腑抜けてカタカタした声
- ◯◯と △△ の中間あたりの声…
などなど、いろーんな声を使っていく内に、「こうした時は△△の声が出る」「ああすると◯◯の声が出る」という風にあなたの「喉の取り扱い説明書」が作られていきます。
ここで作った説明書は一生モノのスキルに繋がります。
これを自力で作り広げ続けれるなら、あなたはボイトレに通う必要はありません。
なぜなら、この説明書を一人一人にあわせて細かく作れっていけるのが「ボイストレーナー」と呼ばれる人達であって、時間と勉強と労力を惜しまなければ誰にだって作れるものなんです。
地声っぽい高音の練習って、実はシンプル
地声っぽいミックスボイスを作っていく為には「二方向からのトレーニング」を行う必要があります。
- 地声の詰まったような高音をミックスボイスに近づけていく練習
- 裏声のような弱々しい高音をミックスボイスに近づけていく練習
もちろん、その人のレベルによって2つの練習量やバランスは変わりますが、
「片方のメニューだけを繰り返しても、地声っぽいミックスボイスは自由に使えない」
ということは共通しています。(大事なのはいろんな筋肉をバランスよく稼働させること)
筋肉が発達してきた or 自分に足りない要素がわかってきたら、きちんと今の自分のレベルに合ったものへと練習メニューも更新し、常に最適なメニューで練習できるようにしていきましょう!
陥りやすい罠 ①
裏声(ヘッドボイス)を強く出し続けてるだけじゃ、地声っぽくならない
ボイトレ情報を探してネットの海を漂っていると、
というトレーニングに遭遇することがあります。
僕自身もそういったボイトレに通っていた時期がありました。
が、何年経ってもクロちゃんから成長することはありませんでした。
この練習のメリット&デメリット
◆ メリット
- 裏声のボリュームが増える。
- 音程をとる筋肉&神経が発達するので音程・音感が良くなる。
- 場合によっては裏声の最高音が上がる
- 他パーツの操作が上手く行ってれば、息漏れの少ない高音になる可能性がある
◆ デメリット
- 色んな神経&パーツが混合して喉が扱い辛くなる
- 地声っぽさの元となる「声帯の閉じを作る(音の密度を増やす)筋肉」が刺激されづらく、ボリュームはあるのに息漏れ感が抜けない裏声っぽい高音になる。
- 低音と高音の境目での音色差が極端になり「声のひっくり返り感」が強くなる。
- 発声を意識しすぎて「抑揚のないつまらない歌」になりやすい。(地声と裏声の切り替え辺りなど特に)
- 場合によっては裏声の最高音が下がる
このように、
なりふり構わず空気を吹きまくって裏声を大きく出し続けている
↓
自分の意志とは無関係に声帯の閉鎖が外れてしまう
↓
厚く声帯が閉じれないので、より強い声が出しづらくなっていく
という症状にも繋がってしまいます。
更にやっかいなのは「誤作動グセ」
そしてもう一つの症状に、強く吹きすぎた息を、声帯や仮声帯などで一生懸命こらえ続けようとしたせいで
正しい閉鎖には必要ない筋肉が勝手に動いてしまう(声帯そのものをコントロール出来なくなる)
という問題が発生することもあります。これが一番厄介。
パーツごとの練習もせず地声を張り上げるだけの練習に比べれば、結節やポリープなどの疾患ができにくい分こちらの裏声練習はマシです。
ただ「喉の中にあるパーツ達の本来の力」は発揮できなくなり、不安定な発声癖を作る要因となってしまいます。
対処法
声の「裏声っぽさ」が取れずに悩んでいる場合、
まずは小さく弱い声で構わないので、日常ではなかなか使われていない「裏声と相性のよい筋肉、相性のわるい達」を見つけ、刺激していくことが重要となってきます。
裏声を使って色々な音階・言葉の組み合わせを試していくと、ちょっとずつごちゃごちゃに混線(混合)して動きの鈍かったパーツ達が整理されはじめ、少しずつ「音色に変化をつけるパーツ」を動かせるようになってきます。
- ボイトレの音階練習だと割とうまくいくのに、歌の中じゃ全然使えない…って方。
- 強い高音を出せてたつもりが、録音を聞いてみたら「え、なにこの裏声….」って経験のある方。
ここを順序良くふるいにかけながらチェック&修正していくと面白い変化が出てきてめっちゃ楽しいですよー!
陥りやすい罠 ②
練習中、ミスしていることに気づけない
音階練習(スケール練習)には「効果が出やすい音階練習」と「効果が出にくい音階練習」があります。
- 音域が広すぎる(1オクターブより広い場合、初学者はとりあえずNG)
- メロディーが難しすぎる(音を合わせることに難しさを感じるのであればNG)
- スピードが速すぎる。(1音ごとにきちんと声帯など各パーツの状態を把握&調整できないのであればNG)
「音の並び」や「音程の取り方」に気を取られていると、本当に調整したいポイントに練習が定まらず、効果が半減、もしくは全く効果が出ません。
まずは自分に合った正しいレベルの練習を把握し、「何を鍛えるべきなのか」を明確にしましょう。
「オススメしない」音階練習
これからご紹介するのは「ミックスボイスを見つけたい」「ミックスボイスを地声っぽくしたい!」という方にはあまりオススメしない音階練習です。
独学練習に組み込んでるけど効果を感じてはいない…って方は参考にしてみてくださいませ。
1オクターブ半のスケール練習
「1オクターブ半(1.5オクターブ)のスケール(音階練習)」は海外メソッドから派生したボイトレ教室や教材で多く使われている音階です。
以前はNVSでも使用していました(本当にごめんなさい)
- 音域の広さから強引にヘッドボイス(裏声)へ流せる場合がある
- 全ての音階をむらなく練習できる etc…
と、以前は一見「理にかなった音の配列」のようにも感じてたのですが、
- 声をつなげる効果があるとは限らない(裏声に流せるとは限らない)
- 次第に喉の細かい変化に気づけなくなってくる
- 音色を操作しにくくなってくる
- 声のパワーが弱くなってしまう
- 他パーツとの混合を生みまくってしまう 等…
というデメリットが圧倒的に多い音階練習だと知りました。
この音階を使っていた時期にレッスンを受けて下さっていた生徒さん、本当にごめんなさい。
レッスン料金は頂きませんのでまた一度レッスンを受けて頂けると嬉しいです。可能な限りお手伝いさせて頂きます!
正しい条件さえ整えれば、もっと簡単な練習で何倍もの効果を得ることができます。
今自分が抱えている「成長スピードの遅さ」「歌では使えない声」に不安を持っている方は一度、シンプルな練習の中で自分の苦手な動かし方の組み合わせを炙り出していきましょう!
失敗続きで自信を無くしてしまったあなたに。
以前の僕。
ボイトレを始めた当初は
- 自分の喉の状態
- いまの喉に本当に必要な練習
これらを何も把握しないまま(というか把握できるスキルも無かったので)、ただひたすらネット上のボイトレ情報を鵜呑みにし、そして何年も無駄にしました。(今思うと本当に浅はかでビビりまくりでした…
その1年後には、有名なボイトレ本をいくつも買って、毎日何時間も練習して、それでも全く効果が出ずに苦しんでいました。
その2年後には、ボイストレーナーさんに「ミックスボイス出せてるよ!」とは言われたけど、内心「(こんな裏声じゃ歌に使えそうにないよ・・何年やっても地声っぽくなってないよなぁ…)」とモヤモヤしながらボイトレに通っている僕がいました。
だって、めっちゃ高音クロちゃんだったし、歌い方も変なんだもん。。
途中からの僕。
一度それまで習っていたボイトレから離れ、いろんなトレーナーさんを渡り歩いたり、難解な洋書や医学書やらを買い漁ったりしてました。
いろいろ四苦八苦しながら、自分に足りなかった要素、自分が苦手なパーツの動かし方、これらをきちんと把握できる耳と知識を手に入れたことで、よーーやく「あ、ボイトレって本当に効果あるじゃん」と確信を持てるようになり、変化が一気に起き始めました。
そして今では、変化や成長を楽しみながら安心して練習を続けれるようになりました。
おわりに。
読んでくださってる皆さん、いっぱい挑戦して、考えて、疑って、また挑戦して、どうか自分自身の可能性を諦めないでくださいませ!
本当の意味での「喉を育てるトレーニング」は、自分の中の「思い込み」と「偏った知識」を捨てた人にしか与えられません。
どんな形でも構いません。みなさんに良い出会い・発見が訪れることを心から願っています!
ではではまた!
もし「レッスン受けてみようかな?」と思った方はこちらから!